屋根
ホームページなんて誰も見ないよ。
そう言われたので作り始めた。
これは、誰も見ないホームページを作る物語です。
会社概要を作った。
事業内容を作った。
プライバシーポリシーも掲載した。
お問い合わせフォームも設置した。
少しずつ、それらしくなってきた。
次に欲しかったのは写真だった。
現場の写真。
道具の写真。
職人の写真。
何でもよかった。
とにかく一枚欲しかった。
ところが写真が届かない。
まぁ、いい。
やる理由もなければ、やらない理由もない。
私は屋根屋にしか見えない美しい夕陽を待っていた。
現場の空気が伝わるような一枚。
職人の背中が写った一枚。
そんな写真を勝手に想像していた。
待つことを楽しんでいた。
ある日、写真が届いた。
届いたのは屋根だった。
ただの屋根である。
いや、正確に言うと違う。
綺麗に納まった屋根だった。
真っ直ぐ伸びるライン。
無駄のない形。
唯一無二の角度。
それ以外の説明が見当たらない。
私は写真の中に物語を探した。
そこに映っているものは
夕陽ではない。
演出でもない。
物語でもない。
『屋根』
加工した屋根をアイキャッチにした。
少しだけ夕陽を盛った。
少しだけドラマを加えた。
この屋根の前で
それはホームページを作る邪念のような感じ(笑)
写真一枚が届かない物語に
届いたのは屋根だった。

これで、十分だ。
